7月、湿原を黄橙色に染める日光黄菅の群生は、尾瀬に夏が来たことを象徴する花です。今でもパンフレットやガイドブックなどには、「水芭蕉と至仏山」で有名な中田代のビュースポット付近からの「日光黄菅の群生と至仏山」の写真が載っていますが、残念なことに今、ビュースポットから「日光黄菅の群生」を見ることはできません。
2020年も尾瀬地域で日光黄菅の群生を見ることができるのは、次の2カ所です!
沼山峠下登山口から沼山峠を越えて樹林の中を下り大江湿原に出る手前で「シカ対策のゲージ」を抜けると、日光黄菅を目にします。そして、その数は木道を進むにつれて増えてゆきます。ヤナギランの丘を右に見て第2大江川橋を渡ると間もなく前方が一面黄橙色の絨毯を敷き詰めたように見えてきます。さらに進むと黄橙色が一層濃くなり、まるで黄橙色に染まった雲の中を歩いているかのような錯覚を覚えます。
かつては、尾瀬ヶ原でも尾瀬沼地区の大江湿原ほどはありませんが、ほぼ全域で日光黄菅を見ることができました。特に上記左の写真のように、尾瀬ヶ原の第1の見どころは「水芭蕉のビューポイント」として知られる中田代の「下の大堀川沿い一帯」でした。また、牛首分岐から尾瀬ヶ原の北縁をヨッピ川の右岸沿いに進む「北縁道」も知る人ぞ知る日光黄菅の群生地でした。しかし尾瀬ヶ原では、2016年に「群生」はほぼ壊滅状態になりました。そして、2019年「北縁道」の下の大堀川の拠水林といもり池の間に「シカ防護柵」が設置されました( 注 今後、この付近を「シカ防護柵ゾーン」と名付けます)。その結果かどうかは不明ですが、上記右の写真のように「シカ防護柵ゾーン」では、見事に「日光黄菅の群生」が復活しました。
尾瀬の日光黄菅の花の見頃について、ガイドブック等では、尾瀬ヶ原地区は「7月中旬」、尾瀬沼地区は「7月中旬から下旬」と説明しています。確かに全体としての開花時期はその通りですが、では私たちは、「いつ尾瀬へ行けば見事な日光黄菅の群生を見ることができるのか?」という点になると、明確な回答にはなりません。そこで 尾瀬保護財団が作成した2008年から2019年までの「尾瀬情報」、「今日の尾瀬(山ノ鼻・尾瀬沼両ビジターセンターのブログ)」、長蔵小屋ブログ「長蔵小屋からの最新情報」、片品村観光協会のホームページ・檜枝岐村観光協会のホームページ・東京パワーテクノロジー株式会社「尾瀬ブログ」そして「2008年から2019年までの各年の尾瀬の花」等でネット検索した資料を利用させていただき「日光黄菅の見頃はいつなのか?」を調べてみました!(利用させていただいた皆様ありがとうございました)2008年からの開花状況は下記の通りです。
7月の尾瀬地域の綿菅と日光黄菅の開花状況2008年から2019年までの12年間のうち、尾瀬ヶ原地区と尾瀬沼地区の2地区で見頃とった日は次の通りでした。
従来、「尾瀬ヶ原地区と尾瀬沼地区は高低差が250mあり、この高低差により見頃期間も相違する」と説明されていましたが、実際には、両地区の雪解けの状況や6月、7月の気温及び気候によって左右されるということがわかりました。不思議なことに尾瀬ヶ原と大江湿原の日光黄菅の見頃期間は、平均的な年であれば、凡そ同じ時期に見頃を迎えます!
尾瀬地域では、これまでシカの食害等による影響で、かつてのような大群生が消えかけていました。しかし「日光黄菅の群生地の復活」を目指して、大江湿原では2014年から、尾瀬ヶ原では2019年からシカの食害対策として防護柵を設置しています。現状では、その「成果である」と断定できないのでしょうが、結果として大江湿原では、年々日光黄菅の花の密度が濃くなり、開花範囲も広くなっています。尾瀬ヶ原でも、北縁道の下の大堀川の拠水林といもり池の間に「シカ防護柵ゾーン」を設置した結果、日光黄菅の群生が戻ってきました。残念なことに、かつて尾瀬ヶ原の日光黄菅の見どころであった中田代・下の大堀川付近では群生が消えたままです(将来はこの地域もシカ対策が実施されるようです)。また、群生の規模によるのでしょう大江湿原では見頃期間が少し長いようです。これまで数年は、大江湿原でしか見られなかった群生が、シカ防護柵ゾーンと大江湿原の両方で見ることができるようになったのは喜ばしいことです!
日光黄菅の見頃期間は長くても2週間ほどと言われています。過去12年間では、両地区の見頃期間の相違は、最大で6日間でした。言い換えれば、少なくとも1週間近くは尾瀬ヶ原及び尾瀬沼地区の2地区の「日光黄菅を楽しむ」ことができることになります!
「燧ケ岳山麓周回+尾瀬ヶ原周遊コース」は、福島県・檜枝岐村御池から「シャトルバス」で沼山峠下登山口へ進み、ここから沼山峠を越えて大江湿原で「日光黄菅の大群生」の中を歩きながら尾瀬沼畔へ、そして、尾瀬沼北岸道・尾瀬ヶ原林道を歩いて尾瀬ヶ原の見晴へ下ります。そして見晴から尾瀬ヶ原を周遊して「シカ防護柵ゾーン」の日光黄菅の群生の中を歩きます。尾瀬ヶ原からは、三条の滝林道・燧裏林道ルートで御池へ戻る又は段吉新道・燧裏林道ルートで御池へ戻ります。
このコースの素晴らしいことは、尾瀬地域を代表する殆どの景勝地を網羅していることです。「尾瀬沼畔及び尾瀬ヶ原の湿原を歩き、燧ケ岳及び至仏山を望み、豪快な三条の滝(又は段吉新道のブナ林道)を見て傾斜湿原で知られる燧裏林道を歩く」というとても贅沢なコースです。おまけに尾瀬沼から尾瀬ヶ原へは、高低差280m(白砂峠から尾瀬ヶ原)を登るのではなく、下ります。最後の燧裏林道は、高低差200mを登りますが、これは尾瀬ヶ原から鳩待峠への登り191mとほぼ同じ高低差です。
7月に入り、各団体の「ブログ」等が動き始めました。尾瀬保護財団の7月5日付けの「尾瀬情報」の「シカ防護柵ゾーン」の写真を見ると「見頃」となっています。また、同財団の山の鼻VCの8日付けの「ブログ」では、「逆さ燧の池塘付近」で数は少ないものの「見頃になった」との記述もありました。尾瀬沼地区については、長蔵小屋の8日付けの「ブログ」でも「綿菅がよさそう・・・」、「日光黄菅もチラホラと見られるように・・・」とありました。また、同財団の尾瀬沼VCの9日付けの「ブログ」で同財団の尾瀬沼VCの6日付けの「ブログ」で「綿菅が見頃が続いています・・・」、「大江湿原では200輪ほどが開花・・・」とありましたし、綿菅が見頃が続いています・・・」、同財団の尾瀬沼VCの6日付けの「ブログ」で「綿菅が見頃が続いています・・・」とありましたし、9日付けの「ブログ」では、「まだピークとまではいきませんが、日に日に花が咲き始めて・・・」とありました。これらの情報と現在の天気の状況からすると、
と推測されます(いずれも2〜3日のズレがあると思います)?