7月1日に2020年の尾瀬が本格的に幕開けしました。これは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため尾瀬地域への入山自粛が求められたことによります!6月から10月までの5カ月が尾瀬のシーズンですが、既に、水芭蕉の季節を終え、湿原を黄橙色に染める日光黄菅の花も終わりました。残るのは2カ月ちょっとですが、「尾瀬の三大見頃」の最後である「湿原の草紅葉と紅葉」はこれからです!そこで、新型コロナ感染防止対策を実施している尾瀬の状況を見てきました。
7月末、新型コロナ感染防止対策実施中の尾瀬地域を歩いてきました。尾瀬地域への交通機関及び山小屋では、新型コロナ感染防止対策が想像していた以上に徹底されており、感激しました! 一方、今期休業している山小屋等も多数ありました。休業している山小屋の前を通ると、見た目には「冬囲い?」のままの状態のようにも見え、入山者の減少が続いていることと併せて「尾瀬地域の将来」について考えさせられもしました。
ます、現在尾瀬地域へ入山するにあたり、尾瀬国立公園を管理する環境省、各自治体そして尾瀬保護財団は、連名で「尾瀬入山に当たって」という注意書きを公表しています。また、群馬県及び片品村そして桧枝岐村は、「2020年尾瀬国立公園への交通対策のお知らせ」を発表しています(パンフレットは、片品村及び桧枝岐村の依頼を受けて尾瀬保護財団が作成したと記述されています)。
尾瀬地域へは、群馬県側からも福島県側からも入山できます!どちらが、新型コロナ感染拡大防止に努力しているか調べました。
群馬県側の片品村戸倉から鳩待峠までのバスを運行している関越交通株式会社と、福島県側の桧枝岐村御池から沼山峠下登山口までのシャトルバスを運行している会津乗合自動車株式会社の新型コロナ感染防止対策を調査した結果、会津バスの取り組みは、きめ細かいもので、「★★★」に相当すると感激しました!
会津バスの対策は、バスの換気、バスの手すりや座席などの消毒は無論のこと、乗車券購入所には「検温実施」を案内する大きなポスターが張られ、乗車する全員の体温測定を実施、乗車すると目の前に消毒液が用意されているという徹底ぶりでした。バスに乗っていて安心感を感じました!
「燧ケ岳山麓周回(段吉新道ルート)十 尾瀬ヶ原周遊コース」 ルートマツプ
20.8.10からの状況 正版コースは、沼山峠下登山口から歩き始め、下記のルートを経由して御池へ戻る「燧ケ岳山麓周回(段吉新道ルート)十 尾瀬ヶ原周遊コース」です!
を歩いて御池に戻ります!
木道や登山道の状況は、沼山峠下登山口から終点の御池まで、これまでと特に変わっていません!むろん、下の写真のように所々で木道が劣化していたり、登山道や橋なども含めて雪による破損や倒木、法面の崩れなどはありますが、新型コロナ感染防止に伴う道への影響ではありません!
このコースで
トイレについて、③の沼尻のトイレは、尾瀬沼東岸と尾瀬ヶ原の見晴を結ぶ間にあり、ここが使えないと2時間30分(尾瀬沼東岸⇒見晴)から3時間以上(見晴⇒尾瀬沼東岸)の間、トイレ無しになります。また、竜宮小屋脇のトイレは尾瀬ヶ原のほぼ中央に位置することから、尾瀬ヶ原のトイレの中では大きな比重を占めています。さらに、沼尻も竜宮十字路も休憩場所としての好位置(ともに休憩はできます)にあることから、コース設定に慎重さが求められます(管理者側は、携帯トイレを持参することを求めています)?!
尾瀬地域を歩く上で最も重要な施設の一つである山小屋は、尾瀬ヶ原及び尾瀬沼地区に17軒ありますが、うち6施設が休業中若しくは営業開始日未定となっています。いずれも木道に面しており、中にはまるで昨年10月末に冬囲いしたままかとも間違う施設もあり(実際には、保全・管理のために点検や補修をしています)、遠くから見ても前を歩いても複雑な思いがよぎります。新型コロナ感染防止対策によるものとは言え、もう二度とこんな姿は見たくないと思います。
各施設とも新型コロナ感染防止対策として、「三密」避け「感染者を出さない、感染者にならない」様々の努力が強く感じられます。具体的には検温・健康状況のチェックやマスク使用の要請に留まらず、これまでは使用してこなかった手洗いのためのハンドソープの使用、消毒液の使用、入浴時にも石鹸だけは使用できるようにするなど、様々なところで努力されていることがわかり、「尾瀬をこよなくいとおしむが故の営業である」という思いが強く感じられます!詳細は、各施設のホームページで見ることができますが、区域内の全施設(尾瀬沼山荘は地理的条件から未記載です)の宿泊条件、新型コロナ感染防止策等を集計しましたので、下記の通り掲載しました。 なお、桧枝岐村観光協会加盟の山小屋で提供されていた「御池駐車場の無料コインサービス」は終了しています。
20.7.21 7月15日からの山小屋の状況 正版入山者は、例年に比べ圧倒的に少ない状況でした‼ 大江湿原の日光黄菅の群生が見頃であった7月19日(日)〜20日(月)に、御池駐車場で観光バスを一台も見ませんでした。昨年も見頃であった7月21日(日)には、10台以上駐車していましたし、22日(月)にも6台が駐車していました。いわゆる「ツアー入山者」が皆無に近かったのでしょう。木道の前後も十分間隔がとりましたし、対向者も少人数のグループや二人組が大半でしたから、マスクの心配をせずに歩くことができました!
大江湿原では、本命の日光黄菅の群生が見頃でしたが、綿菅が当たり年のようで綺麗でした‼ シカ対策の防護柵の成果でしょう、日光黄菅の咲いているエリアが広くなったように思えました! 例年、一面を黄橙色に埋め尽くす大江湿原分岐付近こそ少なめでしたが、沼山峠を越えて大江湿原に出ると一面に綿菅の綿毛が広がっていました! 小淵沢田代分岐付近の日光黄菅と綿菅のコラボに感激しました!近い将来、ここにも日光黄菅の群生が見られるのではと思われます!
大自然の中で、人間界だけは世界的な新型コロナ感染のために活動を一部縮小していますが、他の動植物は例年通りの活動を続けています!ここ尾瀬地域でも、例年より早く春が来て花が咲き、初夏には葉が茂って鳥が飛び、夏には水芭蕉の実を食べにツキノワグマが活動しています! これらの例年通りの光景の中で人間の姿だけが著しく減少しているのです! これから来る秋、「いつも通りの尾瀬」を諸々に注意しながら、楽しんではいかがでしょうか! まるで「尾瀬が私のためにある!」かのような感激に浸ることができます!