新聞各紙の全国版に、載らなくなって久しい( 注 )のですが、2月7日、環境省関東地方環境事務所が2019年の尾瀬国立公園への入山者数が247,700人であったと発表しました。これは、1989年に調査を開始して以来の過去最少の人数とのことです。数年前から「尾瀬が混んでおらず、歩き易くなっている!」と感じていたのですが、この数字を見ると「なるほど」と納得できます。昨年、ある山小屋に平日に泊まった際、なんとその日の宿泊者は、私たち1組だけだったのです! 小屋の担当者に聞くと、近年は、「平日には1組だけというのはありますよ!」とのことで、尾瀬ヶ原を気を遣わずにゆっくりと楽しむことができました。まさに「桃源郷を歩いている心地良さ」でした。(注;右のスクラップは、朝日新聞の2011年12月23日の全国版の記事です。2011年の記事以降について、2013年以降は「尾瀬地域への入山者数に関する記事」は、関連する福島県や群馬県などの地方版への記載を除き、全国版には記載がありません。なお、2012年は未確認です)
尾瀬では、1950年代から入山者が急速に増加しています。この結果、尾瀬の自然保護に係る問題で後には全国の自然保護における課題となった問題が浮き彫りになりました。すなわち「オーバーユース(過剰利用)」の問題です。最初は自然保護の視点からでしたが、道路を整備し尾瀬を一層開発しようという側(沼田・会津街道開鑿規制同盟会)においても、66年12月に発行した「尾瀬を中心とする沼田・会津街道開発計画に就いて」の中で「尾瀬の正常化」を進めるために「探勝シーズンの分散化」をと、「オーバーユース」を取り上げています。こうして、「オーバーユース」が論議されて60余年過ぎた今日、1日の入山者も、1994年に22,198人。1995年に22,500人。1996年に19,092人と2万人規模だったものが、15年近く過ぎた2011年には8,600人と、ピーク時の半数以下に減少しています(数字は、いずれも環境省のデータによります)。残念ながら2012年以降は、Ⅰ日当たりの入山者数については公表されていませんから確認できませんが、歩いてきた実感としては一段と減少しているように思えます。
20.2.28 尾瀬の入山者数の推移