2020年から2021年の間は、新型コロナ感染防止のため、尾瀬を訪れることに様々な制約がありました?しかし、今年2022年は「感染防止対策の遵守」が求められているものの、2年ぶりに春から尾瀬をゆっくりと回ることができます!「尾瀬の幕開け」と言えばなんといっても「水芭蕉」でしょう? 厳しい状況だった2020年及び2021年は、ともに平年より1~2週間ほど早く見ごろとなりました。今年はどうかというと、桜が平年より早く咲いていますから、水芭蕉も平年よりは早いと思われますが、それほど早くはないようです。
昨年から全国的に気候のブレが大きく、寒くなったり暑くなったりを度々繰り返しています?。ビジターセンターのブログ、日本インターネット研究所の尾瀬沼畔のライブ映像、さらには東京パワーテクノロジーさん及び長蔵小屋さんのブログ等をベースに、周辺3県の桜の開花状況を踏まえて次のように推測しました! なお、5月16日に「山の鼻ビジターセンター」がオープンし、ブログに早くも「ビューポイントの水芭蕉」について記事がありました。写真を見ると、早くも見ごろに近づいているように思えます? (写真は、尾瀬保護財団 山の鼻ビジターセンターのブログから転載させていただきました)
尾瀬地域は、5年ぶりの大雪で鳩待峠道も木道の大半が雪に覆われていますし、沼山峠道も大江湿原までの林内の木道は雪に覆われています。しかし、木道が雪に覆われているからと言って歩けないわけではありません。むしろ、常には体験できない残雪の雪山歩きが体験できます。
尾瀬沼畔及び尾瀬ヶ原の5月17、18日の雪の状況は、次のようでした。5月17日の写真は尾瀬保護財団・山の鼻ビジターセンターのブログ掲載の写真をお借りしました。5月18日の写真は山ノ鼻ビジターセンター前のライブカメラの映像をお借りしました。
2017年6月5日の雪に覆われた沼山峠越えの林内の木道です。歩くのにさほど不自由はありませんでした!
こうした状況では、残念ながら「水芭蕉が見ごろ」になっても、入山することができません? 御池からのシャトルバスが運行を開始する28日~入山することになるでしょう?
尾瀬ヶ原地区だけを巡るのであれば、群馬県・片品村の鳩待峠からの入山が便利です!
沼山峠を越えて樹林の中を下って行くと、遠くの大江湿原に「水芭蕉」の群生地らしき白っぽい帯が見えています!少しづつ気分が高揚してきます! 最初の水芭蕉との出会いです!
大江湿原に出ると、左側に「ミネザクラ」が咲いており(年によって水芭蕉の見頃と重ならないことがあります)、左側に「水芭蕉」の群生を見ることができますが、遠目にしか見えず残念です?
小淵沢田代分岐を左に折れた先の第三大江川橋からの下流方向です!右の写真は、1997年5月発行の「ヤマケイ アルペンガイド 4 尾瀬」に載っていた写真です、大江湿原に出て、5分も歩かないうちに「小淵沢田代分岐」に着きます。左側を流れる大江川沿いの両岸に「水芭蕉」が咲いています! 残念なことに近年は、その数が減っているように思えます?
沼山峠道・大江湿原分岐手前からの大江川下流域の「水芭蕉」です! 第1大江川橋の右岸下流側には、展望用のテラスが作られており上流側、下流側ともにゆっくりと鑑賞できます!
大江湿原分岐から尾瀬沼東岸へ向って行くと、木道左側の奥沢の東岸に近い湿原一帯が白く見えてきます! 木道からは離れていますが、奥沢流域から東岸の縁(へり)まで広がっている「水芭蕉」の群生地です! 尾瀬沼地区では最も広く、見応えがあります。東岸縁りでは、近年木道近くまで拡大しているように見えます! 木道右側は、東岸縁りから大江川の河口付近まで、密集度は下がりますが数本あるミネザクラの際まで「水芭蕉」の群生地が広がっています! また、長蔵小屋北側の湿原の縁には、展望用テラスが設置されており、「水芭蕉」の群生と雄大な燧ケ岳、さらには大江湿原の全景が見渡せる新たな「ビューポイント」となっています! なお、この一帯は「立金花の群生地」でもありますから、「水芭蕉」と「立金花」の競演も楽しめます!
釜堀沢湿原からの「燧ヶ岳と水芭蕉の群生」は、尾瀬沼畔を代表する「ビュースポット」です
大江湿原分岐から尾瀬沼東岸へ向かい、長蔵小屋の前を過ぎると釜堀沢湿原に出ます!釜堀沢湿原からの尾瀬沼、水芭蕉と燧ケ岳の3点セットは、「尾瀬ヶ原・下の大堀川の「ビューポイント」に負けず劣らずの「尾瀬を代表する一枚」です! 今から100年以上前に「尾瀬の父」と称される武田久吉氏が感歎し、以来 幾多の人々を魅了してきた「光景」には、「自然保護や発電問題」に留まらない「100年の歴史の重み」を感じさせるものがあります!また群馬・福島両県の県境でもありますし、何よりも、「水芭蕉、ゆったりと広がる尾瀬沼、標高2456mまで一気にせり上がる燧ケ岳と左奥には景鶴山の頂…」の姿は、訪れた人々に「尾瀬」を強烈に焼き付けます! 釜堀沢湿原では、沢から流れ出る水が雪解けを促すことで、「水芭蕉の開花」が早まるといわれています?
尾瀬沼・北岸道を歩き、樹林を抜けて沼尻平に着くと、視界が一気に開け、頭上には燧ケ岳が圧しかかるように見え、 足元には「水芭蕉」の群生を見ることができます!大江湿原分岐からの尾瀬沼・北岸道では、浅湖湿原を含め数カ所で「水芭蕉」を見ますが、この規模で纏まっているのは沼尻平だけです!この先、沼尻平から尾瀬ヶ原・見晴までの間でも白砂湿原など数カ所で「水芭蕉」を見かけます? また、「水芭蕉」の群生から少し進み沼尻平十字路の手前では、至仏山を望むことができます!大江湿原分岐から尾瀬ヶ原・見晴までの凡そ8kmの間に数カ所で至仏山を望むことができますが、そのうちの1カ所です!
沼尻十字路から100分ほど尾瀬ヶ原林道を下って(途中 白砂湿原から白砂峠への高低差30mの急な登りがあります)ブナの樹林を抜けると、尾瀬ヶ原の東端 見晴に到着します!
見晴に到着して、尾瀬ヶ原へ向かって左右に山小屋が並ぶ見晴のメインストリート(?)をゆっくりと下ると、若葉が芽吹いていない「水芭蕉」の季節には、樹々を通して尾瀬ヶ原の広がりを望むことができます! ここから、牛首分岐へ向かい、至仏山を見ながら尾瀬ヶ原・横断道を歩きます!
尾瀬ヶ原の東端位置する見晴の先では、山裾から流れ出た何本かが寄り集まり湿地帯を形成しており、流れに沿って小さな「水芭蕉」の群生地を形成しています! 尾瀬ヶ原に入って最初に見る「水芭蕉」です!近年は、規模が小さくなっています?
尾瀬ヶ原・横断道から右にそれて赤田代への赤田代道(三条の滝林道の見晴⇔赤田代間)は、「隠れた水芭蕉の見どころ」です!
見晴から赤田代道を歩き始めるとすぐに、立金花の洗礼を受けます! 木道の右側の細い流れに沿って立金花の群生が幅広の明るい黄色の帯のように連なっており「春がきた!」ことを実感させてくれます! 立金花の群生地を過ぎると、「水芭蕉」が目立ってきます! 尾瀬ヶ原・北縁道と合流する「赤田代分岐」のある台地へ登るスロープ状の木道が見えてきます!この付近から赤田代分岐周辺までは、木道の両側に「水芭蕉」の群生が続きます!
下田代で最も知られた「水芭蕉」の群生地です! 群生している「水芭蕉」を見ることができるのは六兵衛堀橋の上になります? 竜宮⇔見晴間はハイカーがさほど多くないので、特に問題となるわけではありませんが、「水芭蕉」を鑑賞するためには、橋の真ん中で片方の木道を占拠することになりますから、左右に気を配る必要があります! 観賞用を含めて3本木道ができると嬉しいですね? ここでは、「座禅草」が見られるそうですが、まだ見たことがありません?
六兵衛堀を過ぎて、福島県と群馬県(橋の手前にある表示板には、「この先関東地方」とありました?)との県境を竜宮沼尻川橋で渡り、拠水林を抜けると中田代です! 竜宮小屋の前を過ぎて、竜宮十字路を左に折れて、長沢道を150mほど進むと木道右側一帯が「水芭蕉」の群生地です! 規模だけでいえば、北側は竜宮現象地の近くまで伸びていますので、下の大堀川沿いよりはるかに広いです! 30年前に既に知られている群生地ですが、「群生地」に名称がありません? 最も多いのが、「長沢」ですが、「竜宮十字路南・長沢道口」としました! さらに残念なことに、竜宮十字路からわずかの距離ですが、十字路付近で休んでいる人は見ても、「長沢口の水芭蕉を見にに訪れる」人は、ほとんどいません? もったいないことです?
尾瀬地域の「水芭蕉の見どころ」として最も知られている中田代の「下の大堀川畔・ビューポイント」からの全景です!「水芭蕉」といえば、この地点を指すほど有名ですが、「下の大堀川畔のビューポイント」が形造られたのは、昭和45年頃(推定)と思われます? 同年発行の「新編 日本の旅 5 日光/尾瀬」《 小学館発行 後藤茂樹編集》の巻末に添付された地図は、古いルートですし、載っていた写真は「竜宮現象地の『水芭蕉』」でした! 竜宮現象地から牛首分岐までの木道は、現在よりも南側の源五郎堀に沿って敷かれており、「下の大堀川沿いへの回遊木道」も敷かれていませんでした! 木道が現在の状況になると、急速にその存在を誇示し、誰もがここで「記念の一枚」を撮るようになりましたが、わずか50年前からの光景です!
牛首分岐に到着しました!
「燧ケ岳山麓周回 + 尾瀬ヶ原周遊コース」は、牛首分岐で右に折れて尾瀬ヶ原・北縁道を赤田代分岐へ向かいます!
この付近は、尾瀬ヶ原の中で最も広い湿原です! 燧ケ岳の右裾付近に、竜宮小屋がかすかに見えています(上の写真には写っていません)! 木道は、左側を流れる猫又川の拠水林に沿って下の大堀川へ向かって進みます! 前方の木道の間にカップルベンチが見えてくる付近から、周囲に「水芭蕉」の群生を見ることができます!
東電下の大堀川橋を渡り、シカ防護ネット柵が設置してある「日光黄菅の群生地」、続いていもり池の前を過ぎてヨッピ吊り橋を渡ると、ヨシッ堀田代に出ます! かつては「水芭蕉」の群生が見られたのですが、近年はボリュームが落ちているように思えます?
東電小屋を過ぎるとワンダーランド?
東電小屋の前を通り、右下の只見川と名前を変えた流れに沿って、笹山から落ちる山裾の樹林の中を進むと、右側崖下の東電小屋裏手の只見川の河川敷一面に無数の白い粒が見えます!これがすべて水芭蕉です!歩くことはできないのですが、これまでイメージしてきた「水芭蕉」とは違う「世界」を思わせる「幻想的」な光景です!
樹林を抜けると急に目の前が開け、至る所に藪のように小さな雑木(ぞうぼく)が広がっている雑然とした湿原に出ます! しかし、この時期は尾瀬ヶ原でも、一二を争う「水芭蕉」の群生地となる「笹山田代」で!湿原は大きくはありませんが、「水芭蕉」の密度が濃く、圧倒されます! 木道の先には只見川に架かる東電尾瀬橋が、その上には燧ケ岳がどっしりと聳えています! この群生地は、30年前の「尾瀬を歩く 山小屋の主人がガイドする 」に記述がなく(コースガイドには記載があります)、インターネット検索でも見つかりませんでした?わずかに山の鼻ビジターセンターのブログで、2017年5月24日及び6月6日に取り上げているのが確認できました?5月24日は、「東電尾瀬橋近辺です」と正確に記述して「ミズバショウが見事に咲いています」とのコメントもありましたが、6月6日は「昨日のヨシッポリ田代の様子」と記述されていました? 木道の前方に東電尾瀬橋が見えており、ここは「ヨシッポリ田代」の範囲からはずれています!それほどマイナーな湿原ですが、「ミズバショウが見事に咲いています」とコメントする「群生」とは認めています!?
尾瀬地域の中で、東電小屋を含むこの一帯だけが新潟県に属しています。正式な住所は、新潟県魚沼市下折立です(尾瀬で魚沼市というのは違和感を感じますが?)!「笹山田代」は、背後の1538mの山の名前から付けました! ちなみに、昭和46年6月発行以降の国土地理院5万分の一地図及び現在の2万5千分の1地図には山の名前の記述がありませんが、17年陸地測量部認可の地図には、「笹山」と、ご丁寧に「尾瀬崎」の二つの名前が記述されています! その後、川崎隆章氏は「笹山」、白籏史朗氏は「尾瀬崎」を使用しています! なお、1997年発行の「アルペンガイド 4 尾瀬」 《山と渓谷社》には、「笹山」と記述があります!
尾瀬ケ原の北の起点赤田代へ向かいます! 東電尾瀬橋で只見川を渡り、右岸を登って進むと赤田代分岐に到着します! 「燧ケ岳山麓周回 + 尾瀬ヶ原周遊コース」は、この先赤田代から三条の滝(または、段吉新道)へ向かいます!
赤ナグレ沢の拠水林を越えると、木道の周囲を「水芭蕉」が囲んでいます! 木道正面には温泉小屋が、右側頭上には燧ケ岳が大きくそびえ、山裾の樹林が途切れると随所から浸みだす水が緩やかな傾斜湿原を形成し、水芭蕉のの群生地を作り上げています!
燧裏林道の田代坂を下り終えると、御池の駐車場までは、御池田代の東縁に設置された「ワイド木道」を住みます!ここからは湿原全体とと越後の山々が望めます!!広大な湿原に、水芭蕉そして立金花が見事な群生を形成しています!
「燧ヶ岳周回 + 尾瀬ヶ原周遊コース」では、通らない鳩待峠から牛首分岐までの間の「水芭蕉」の見どころは、次の通りです! 群馬県・片品村 鳩待峠から尾瀬ヶ原へ出るルートの上にあり、山の鼻の「研究見本園」もこのルートに含めました!」
30年前のガイドブック「尾瀬を歩く 山小屋の主人がガイドする 」には、「尾瀬で最も早く水芭蕉が見られるのは、4月下旬、大清水バス停付近の湿原、続いて鳩待峠〜山の鼻間の、川上川沿いの小さな湿原では、5月中旬に見られる(注)。」とあり、「尾瀬」で最も早く見ることができる「水芭蕉の群生地」は、「テンマ湿原」となります! テンマ湿原は川上川の右岸にできた長さ150m幅50m 程の小さな湿原ですが、「水芭蕉」の密度は濃い上、木道がほぼ真ん中を貫通しているので、見応え十分な湿原です!
(注)「大清水バス停付近の湿原」は、群馬県側から尾瀬沼地区へ入山する登山口にある湿原で、「尾瀬地域」ではないと考えます。)
山ノ鼻のビジターセンターを過ぎると、右は尾瀬ヶ原へ、左は至仏山への分岐に出ます!この分岐の北西部一帯に広がる湿原が、「研究見本園」です! 名前は「見本園」とありますが、手を加えておらず、他の湿原と同様の生態系が営まれているといわれます! 北の拠水林の先には、今は歩くことができない柳平から流れ出る猫又川が流れており、西は至仏山の東麓の樹林の縁(へり)まで広がっています。一周2kmほどの周回及び中央をほぼ東西に横切る木道と、数カ所に展望用ベンチなどが敷設されています!「見本園」の中を数本の細い流れが東へ向かっているほか、池塘もあり、尾瀬ヶ原・中田代からは、数日遅れとなるものの、水芭蕉から草紅葉まで、密度の濃い季節季節の花々を楽しむことができます!
山ノ鼻から尾瀬ヶ原へ向かう木道は、東端の尾瀬ロッジの前で左へ折れて上田代の湿原へ出ます!上田代の湿原は、中田代や下田代に比べて規模が大幅に小さい湿原です! 「水芭蕉」は、研究見本園から山小屋群の前を過ぎて東へ向かう細い流れに沿って木道付近で密生しており、湿原へ出た途端に「水芭蕉」に巡り合う」という「満足感」を演出しています! また北側の拠水林に沿って「水芭蕉」の群生が見られ、南側には、川上川の古い流路に沿って北側に比べて小振りに群生しており、「水芭蕉の尾瀬」を実感させてくれます! 原の川上川橋を渡り、拠水林を抜けた一帯は、雪解けの一時期「尾瀬ヶ原湖?」と呼ばれる保渡に増水します! その先の尾瀬ヶ原では、「水芭蕉」とともに、「木道、燧ケ岳と池塘の世界」へと変わります!なお、不思議なことですが尾瀬ヶ原全域で木道に沿って水芭蕉を見ることができますが、その事情については手掛かりはありません?